化野夜話 〜 第五夜




 「そこ」に気づいたのはいつからだったか。


 知ってはいた。その存在は常にあったし、無意識下では「そこ」にいたのだと思う。
 漠然とした色や風の匂いなど、不思議な位に懐かしく思い出せた事に、何等違和感を抱かなかったのだから。


 だが、明確に「ある」と気づいたのは……恐らくあの日。




 何故、何かがある日は満月なのか。
 そういう自然法則でも存在するのか。知っている者がいるなら教えて欲しい位だ。
 そう……あの日も……そしてその後も………。
 お誂え向きのように満月だったと記憶している。





 オデッサ。

 グレミオ。

 父上。

 ……テッド。





 ソウルイーターが「目覚め」た日。

























 「僕」が



 「私」へ歩み始めた日。





 → 第一夜